001モノを作るということ

もう15年服を作っている。

思うがままに作ってきた気がする。
服作りが何を意味するのか、
これをどうするのかも考えずに。

この年月過ごしてやっと、考えるようになってきた。

遅い?そうかもしれない。

でも、15年やってきたからわかる事もある。

服を作る事。

作れば何でも出来る。
わざわざショッピングに出かける必要もない。
でも、何を作るのか。

ショップに掛けられた服の数だけの制限がないから、
作るものを決めるのは無限の選択肢がある。

さっき考えるようになった、というのは、
このこと。

何を作るのか。

当たり前に聞こえるかもしれないけれど、
そろそろ、なんとなく作るのはヤメだ。

デザインは、ベーシックなものの組み合わせであることが多い。
バランスをとる為に、一箇所だけをデフォルメして、
他の部分はベーシックに。

そんな作り方が好きだし、
一番まとまりが良いと思っている。

素材の使い方や、色使いにしてもそう。

こういうと、
デザインの仕方という話になってしまうけれど、

作る上でもっと大事な事があるように思えてならない。

最近思うのは、
完成度。

これも当たり前でしょ、と思うかもしれない。

15年やってきて、
完成度に対しての目が人それぞれ大分違う事が分かってきた。

縫製の面でも、
外注さんにお願いした事もあるが、
なんじゃー、このよれよれのステッチはー。
とか、なんじゃー、この生地のゆがみはー。とか。
これで完成なの??
と泣きを見た事がなんどもあった。

パターンにしても、
大分修正をいれてもらって、無理を言った事もある。

作るのならば、作り込みたいのだ。

この程度で標準、というそのレベルが皆違うようだけれど、
それを常に超えようとしてこそ
わざわざ作るという意味がうまれてくる。

それが、
お客様のオーダーであろうと、自身の作品であろうと。

そうじゃなかったら、
作る意味はないし、ましてや売ろうなんて思ってはいけないと思う。
大量生産にお任せしておけば良い。

その完成度から考えると、
おのずと選ぶ生地も、デザインも変わってくる。

作っている最中に
こう縫ったら綺麗にできる、とか、途中のアイロンは必須とか。

それは必要だけれど、
でも、完成した時にあれれー。なんて事がないだろうか。

作っている最中に完成度を考えるのではなくて、
思った完成度を表現できる為の要素を集める事から始まる。

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